わたしの年齢設定を変えて欲しいのですが…

先日或る在籍女性からそのような相談を。具体的には「現状の30歳から32歳に」との内容だったのですが、その女性、入店時が30歳で今は32歳、要は実年齢の通りに合せて欲しいと。

20代中盤から後半ぐらいに見えるその女性、30歳を過ぎていると言っても誰も信じてくれないそうなのですが、実際私も同様の印象を持っています。

結論から言うと他の女性とのバランスを考えてとりあえずは保留に。「普通の風俗店なら貴女は23歳ぐらいの設定になりますよ」と説明したら笑いながら納得してくれました。

俗に言う「風俗年齢」の話。

実年齢表記以外すべて風俗年齢だという話なら確かに当店も風俗年齢表記なのかもしれません。ただ、その程度は上述の通り、精々実年齢の±3歳以内、極力印象年齢に近くなるよう設定しています。風俗年齢バリバリの某大手グループ出身の私としては「あーこの女性●●歳に設定しておけばもっと電話が鳴るんだろうなー」と思うことも少なくはありません。

ただ、そこでより苦労するのは実際に接客する女性、過度な写真修正、俗に言う「パネマジ」も然り、あらかじめマイナススタートから盛り返すのは誰が想像しても大変だとわかることです。

特に当店は本指名を重視していますから接客内容も然ることながらそれ以前の「（お店の役割としての）マッチング」を大事にします。30代前半の女性をご希望されるお客様に「30代前半の表記だけど実は40代」の女性を付け回してもリピーターになってくれる可能性が低いのは明らかです。

それでもこの業界に「風俗年齢」なる概念が跋扈するのはそれを（お客様との間の）「お約束」のように楽観視する風潮があるから。要はお客様も風俗店は「そういうものだ」と諒解した上で利用しているという都合の良い考えに甘えているということです。

そしてもう一つ、これは女性にとっても耳の痛い話なのかもしれませんが、女性自身がそこにフィクションとして自己を投影するために甘んじてそれを受け入れている面もある、と。

これは実際に体験した話。実年齢38歳の女性の年齢設定を35歳にしようとしたら「え？　前の店では27歳でやっていたのにいきなりですか？！」と。前の店の設定年齢なんて知りませんよね。今まで27歳だったものがいきなり35歳になることを受け入れ難いという心理はよくわかるのですが、どう贔屓目にみても27歳は無理がある容姿、実際の見た目に近い年齢設定の方が仕事もしやすいと諭してもなかなか受け入れてはくれません。

女性の自己承認欲求の類を速やかに受け入れるのが風俗店員の仕事とも言われていますが、私は必ずしもそうだとは思っていません。それがお店やお客様の利害と相反するのなら時には拒絶も必要だ、と。いつまでもそれを当たり前の態度だと考えているからいつまで経っても風俗業界は…、とさえ思っているのですがその話を書き始めると長くなるので今回のところは割愛。

閑話休題。

スポーツ新聞や夕刊紙の類は「現役世代」のリタイアと共にかなり部数を落とすとも言われていますが、その層は風俗利用者とも大いに被ります。そして、その状況をコロナ禍が加速させた、と。つまり、もはや牧歌的な「お約束」の時代は終わりつつあるのではないかと思っています。

これからは当たり前のように「詐欺」の悪感情が先走る世代が中心になる、あるいは「風俗離れ」が加速する。自ら「風俗業界は特殊だから」と自虐する時代ではもはやないということです。

それは或る意味風俗業界とそれ以外の一般社会の地平が同じになるということ、風俗業界への差別をなくし平等を求める運動も最近はみられますが、私に言わせれば、平等であることを拒絶しているのはむしろ風俗業界の方、いつまでも世間の常識に反した「お約束」に安住していたいと願っているようにしか見えません（ブラック待遇当り前のスタッフ環境なんてまさにそれですよね）。

アフターコロナのキーワードの一つは「信用」もしくは「信頼」だと思っているのですが、それは手前勝手な「お約束」を廃したところにこそ生まれるのだと思います。

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