無店舗型風俗店の零度

今春の緊急事態宣言に呼応した「営業活動の自粛」が開けて以来、当店では毎週日曜日を店休日とし事前のリクエスト予約を例外として所謂「通常営業」をお休みしています。当初は夏頃までの一時的な措置と考えていたのですが、いくつかの理由から(主にスタッフシフトの事情ですが)そのまま継続してむしろそれをこの店の常態としても良いかなと考えるに至っています。

そもそも私が風俗業界に入った10年ぐらい前は日曜日を店休としていた店舗も案外とあって(主に高級を謳う店舗)、それがいつの間にか年中無休当たり前、24時間営業のお店まで現れるような状況に、世の中の流れといえば確かにそうなのかもしれません。

で、今がまさにその流れの転換期、これは決して一過性のものではなくてこのコロナ禍を機に、仮にそれが完全に終息したとしても、残るべき新しい習慣は残っていくのだと思います。もちろん年中無休を改めることがそれに相応するのかどうかなどわかりませんが、高額すぎる広告料だとか、もはや強迫観念にまで昇華した写メ日記の習慣とか、風俗業界も色々と「ゆとり」がなくなって随分と窮屈な印象、例えていうなら都心にあるドンキホーテの店内、モノはたくさんあるけど雑多でとてもゆっくり買物をしようとは思えないあの空間のイメージです。まあ、とりあえずそれが良いのか悪いのかはわかりませんが、そこからは一旦抜けてみましょう、と。

日曜日を休みとしているわりには、ありがたいことにリクエスト予約をいただくことも多くて日曜日も仕事をしていることが多いのはさておくとして、業務の有無に関わらず店休の日曜日は私が転送された電話を受けているのですが(当日の営業はなくても事前予約の類は受け付けていますから)、驚くのはいまだに「今日これから大丈夫ですか??」みたいな電話が少なくないということです。ネットの出勤表は当然「出勤ゼロ」の状態、つまり、出勤表すら見ずに電話をかけて下さるお客様が案外と多いということ、しかもむしろご新規様が殆どっていう…。

今さらですが当店は「ダミー出勤」という風俗業界の悪弊とは無縁の営業をしています。当日欠勤の女性も当然即座に出勤表から落とします(ちなみに、退店の意思を確認した女性も即座に在籍表から落とします)。さすがにまだ経験はありませんが結果その営業日の出勤がゼロになっても多分ダミーは出しません。もしそうなったら色々と反省しつつもとっとと帰宅して自宅で転送された電話を朝まで受けるのだろうなと想像します。

以前働いていた某グループ店では当然のようにダミー出勤を使っていたのでよくわかるのですが、ダミー出勤というのは主にサイトを初めてご覧になる方(即ちご新規様)への見栄えを整える意味が大きくて(よく使う会員様はダミーを把握しています)、要は「出勤が多い店=良いお店」と考えるご新規様が多いのであろうという発想に基づくわけです。私も同じような発想を持っていたのですが、最近のその「出勤ゼロなのにご新規様から電話が鳴る」って状態を体験してみて案外とそうでもないのかなと思うに至ったわけです。

ちなみに私はもう何年も(お客様の立場として)風俗店を利用していないのですが、最近何となく久しぶりに利用してみようかなと思うこともあって、近場のお店のサイトを覗いてみたりもするのですが、20人30人と並んだ出勤表など面倒くさ過ぎて見る気にもならないというか、ある程度内情を理解している立場からすると、その中から「選ぶ」という作業にどれほども意味がないと思ってしまうわけです。まあ、風俗遊びが好きな人なら出勤表に並ぶ女性が多ければ多いほどその中から「選ぶ」という作業に楽しみを見出せるのかもしれませんが、私のような「ライトユーザー」はとてもそんな作業にお付き合いはできません。

で、出勤がいない日曜日に電話をかけてくれるご新規様もきっと私と同じライトユーザーなんだろうなと親近感を覚えたりするわけですが、ただ、その中でも何かの基準があって当店の電話を鳴らしてくれるのは間違いがないわけで、そこで「自分なら」と考えて思い至ったのが「お店で選ぶ」ということ。私のような面倒臭がりは「人」ではなく「店」で選ぶ、と。

念のため書いておくと、ここでいう「ライトユーザー」あるいはその対義語としての「ヘビーユーザー」の定義は主に意識の問題、コース時間だとか利用頻度とはあまり関係がありません。数値的なことで敢えていうならば収入に対する風俗利用費の割合でしょうか、高い人がヘビー、低い人がライト、月に10万円を使う人でも月収が20万円ならヘビー、100万円ならライトです。

リピーター様なら当然過去に利用して印象の良かったお店、ご新規様なら何となくサイトの雰囲気が良さそうなお店、そこに「出勤数」という要素はそれほど加味されていないのではないか、そんなことよりもっと重要なことがあるのではないか、と。それがつまりコロナ禍を経て変化しつつあるお客様目線での「新しい価値観」のようにも思うわけです。コロナ禍でこの店の本指名率と単価が格段に上がったという話は色々なところで書いているのですが、それと上記は決して矛盾しませんし、むしろ合致するとさえ言えます。

あ、この話に何か結論があるわけではありません。これから何をすべきか、何となくわかってきたような気がする、というお話です。

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