いまだに「履歴書は手書きじゃないと…」みたいな人が一定数いて驚くのですが、そういう人は数年後には「生成AIでレポートを作成するなんてインチキだ！」みたいことを言って大いに笑われていることでしょう。

さて、ChatGPTの登場以来日々話題に事欠かない生成AI界隈、生成AIが作成したと思われる美女画像を駆使したTwitterアカウントが軽く万単位のフォロワーを集めていたり、あるいはその活用方法の是非が問われたりもしています。

そもそも生成AIが生み出したコンテンツが「フェイク」なのかどうか、確かに、AIが生み出した架空の人物を恰も現実に存在するかのように謳うのはフェイクというか詐欺なわけですが、ただ、コンテンツそのものは決してフェイクではありません。

人間が手作業でそれなりの時間を費やして作成したものこそがリアルでそれ以外はフェイクだという発想は上述の「手書きの履歴書」にも通じる旧弊な価値観に過ぎません（今はそうではなくても数年後にはそうなっていると思います）。魂がこもっているとかいないとか言いたがる人の気持ちはよくわかりますが、その昔流行った高級オーディオの世界と同じで、魂を見出し得るのがその人の主観でしかない以上、そんなのは存在しないも同じなのです。

何れにせよ、生成AIを巡る倫理の話を私などがしても仕方がないしキリもないので割愛しますが、ただ、フェイクや詐欺的な行為へのハードルが低い業界に身を置くものとしては、やはりどうしても気になってしまいます。

写真の加工、プロフィールの詐称、ダミー出勤、ダミー在籍、まあ、今さら言っても始まらないような話で、「それも含めて風俗だ」などと買手の側ともあらかじめ共有された「お約束」であるかのように開き直る向きすら少なくないのが現実です。

仮に風俗は夢を売る商売で夢を見させるためには多少の嘘も許容されるという理屈を認めるにせよ、しかし、そこには大きな落とし穴があって、それこそがまさに生成AIによるよりリアルなフィクションであり、それらの「付け入る隙」となる大きな可能性であり、結果としての「自滅」なのだと思うのです。

風俗業界で早速生成AIを駆使したフェイクが罷り通ってしまっているのは、この業界がハナからフェイクありきの世界だから、本来的に相性が良いからに他なりません。

つまり、生成AIを駆使した倫理の破壊を風俗業界が抑止するには、既存の人間技による倫理に外れたフェイクをまずは正すべきだと思うわけで、そうすることよって初めて生成AIが生み出す巧妙なフィクションと対置し得るのではないかと。嘘か本当かもわからないような世界では人間はAIになど到底かなわないのですよ。

ちなみに、個人的には生成AIの発達が逆説的に既存の風俗業界の嘘にまみれた悪習のいくつかを駆逐していくのであろう事態は大いに歓迎しています笑

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